駄文
Windows環境でキャプチャーを行う場合, 目的にもよりますが, ビデオ録画程度の楽しみ方を目的とするなら, CMカットなどの再編集の後, MPEG4またはWMV圧縮をして, 30分につき50〜200MB程度のファイルにしてCDに焼くというのが現在の主流です.
将来DVD-Rのようなメディアが非常に安価になればまた状況は変わるでしょうが (メディアは既に安価なようですがドライブが…), 今のところMPEG2等でそのまま保存というのはコストに合いませんし, 他人と受け渡しするのも困難になります.
さて, 最初からMPEG4で取り込んでしまうと編集が破滅的に困難な上に画質もいまいちなので, 一次キャプチャは何か別の高品質な形式で取り込みたい. これには
- MJPEG圧縮によるAVIファイルキャプチャー
編集には最も向いているが, AVIなので単一ファイルだと2Gバイト制限がある. また, ハードウェアにより圧縮ができるものは非常に少ない. 多数のフリーソフトが存在する. - MPEG2圧縮による MPEGファイルキャプチャー
時間方向にも圧縮するので, CMカットのような切り取り処理だけでも再圧縮が必要. ソフトウェア圧縮の場合はかなりのCPUパワーが必要. ソフトは多くの場合ボード付属の純正品を使うことになる. - DVキャプチャー
IEEE1394端子を使って, DVビデオデータを丸ごと取り込む. DVビデオデッキ等を持っていない場合は アナログ→DV信号 のコンバータを別に買い足す. 莫大なデータ量になるが, フレーム間圧縮が無く, しかも十分画質が良いので富豪なら当然これ.
の3流派があります. 特徴は上にも書いたとおり, 編集性を取るか, 長時間キャプチャを取るか, 金で解決かですが, 最近の流れとしてMPEG2圧縮をサポートしてないものは売れないので, AVI取り込みはあくまでフリーソフト等を使って裏技的に行うことになります. つまり, 入念な下調べを行わない人はMPEG2ボードのほうが無難でしょう. (金で解決と思った人は他所に行ってください)
今までは BT8x8 ボード (1万円以下のボードや, ビデオカード付属機能のキャプチャは多くがこれです) によるキャプチャ (MJpeg 320*480 → Mpeg4 320*240) を行っていまして, このチップは320*240までのaviファイルを作るには価格性能比が非常に良かったのですが, 以下の困難が存在していました.
- AVIの 2G制限により,単一ファイルでは実質的に30分程度のキャプチャしかできない.
- チューナーを搭載したカードも多いが, windows2000でチューナーが使用できるものは少ない. (ぱそびが動くボードなら嬉しいが)
- 640*480 の取り込みではチップの速度が限界に近く, 環境によってはCPUがいくら速くてもドロップフレームが多数生じる.
- 640*480 で取り込んでも, ノイズが目立つだけであまり画質は上がらない.
このため, そろそろ新たなカードを買おうと思っていたのですが, BT8x8とは違うクラスのカードから, めぼしいもの を値段の安い順に並べると
- SKnet Monster TV (soft MPEG2, AVI, TV-tuner)
- NEC Smart Vision Pro3 (soft MPEG2, TV-tuner)
- IO-data GV-MPEG2 (hard MPEG2)
- canopus MTV-1000 (hard MPEG2, TV-tuner)
- canopus ADVC-100 + EZDV2 (DV)
- canopus ADVC-100 + DVRaptor2 (DV)
さてさて, 値段を見ればわかりますがDVコンバータはちょっと高くて除外. Monster TVは安くて画質が良い上に, AVIキャプチャもできるという優れものですが, 動作する環境が非常に限られ, しかもメーカーのサポート力も大企業のようにはいかないので, いろいろ調べた結果除外. 他にも NAVIS2 や PIX-MPTV/P1W, PixelView Video Maker 等がありますが, 海外メーカー品はちょっとリスキーで知り合いが使ってたりしないとちょっと不安なので除外.
結局残ったのは Smart Vision Pro3, GV-MPEG2, MTV-1000 といった有名どころでしたが, 最近CPUをceleron850に交換したばかりだったので, パワーは足りるだろうということで一番安い Smart Vision Pro 3 を選択しました. 以下はその特徴です.
Smart Vision Pro 3
選択肢に残った3枚の中で唯一のソフトウェアエンコード機種です. チップは, かの名機 Power Capture Pro (今でも中古で高い) の搭載していた Philipsのチップの後継品である SAA7130HL を使ってまして, 良くは知らないですが PCProよりは良いのでしょう.
チューナはNEC伝統のALPS製で, なかなか評判が良いらしいです. 確かに外部のビデオデッキから入力したときと 内蔵チューナを使ったときで画質の違いがわかりませんでした.
対抗機種のMonster TVとほとんどハードウェアスペックは同じなのですが, 残念ながら NECのドライバはプロテクトがかかっているらしく, hunuaaなどのフリーソフトでAVIキャプチャを行ったりはできないようです. (hunuaaマニュアル内, Pro2EX の記述から類推)
実は買う時には「Monster TVとほとんど同じなら, 有名メーカー品のほうがいいじゃん?」 と思っていたので, この大企業ゆえの嫌がらせには一時的にがっくりきました.
まぁ, 仕方がないので付属ソフトのSmartvisionを使って予約録画等を試してみると, これがえらく快適. iEPGだかADAMS-EPGだか, よーするに自動的にダウンロードしてきた番組表を呼び出して, 見たい番組をダブルクリックするだけ. 後はスタンバイ状態であろうが復帰してキャプチャしてくれます. キャプチャ解像度が細かく選べない点を除けば, フリーソフトに負けないだけの機能がすべて統合されており, しかも発売当初から windows2000 対応でまったく不具合なく動く. これまでキャプチャと言えば付属ソフトは使わない, という常識があったので, 有名メーカー品に期待されることがすべて実現されているのは驚きでした.
もちろんその代償として付属ソフトによるMPEG1,2キャプチャ以外は一切できないのですが, そのへんはもっと高価なハードウェアMPEG2ボードやDVボードを買っても 同じであろうということで我慢です.
それと, 初期設定ではタイムシフトがONになっていてレスポンスが非常に悪いので, 即刻ライブモードに切り替えで, 普通のTVと同じように使えます. それでもソフトの起動と終了はきわめて遅いのですが, これはCPUが偉い人だと少しは違うのでしょうか…
期待した通りの製品ではありましたが, チューナのいらない人ならGV-MPEG2, 金のある人ならMTV-1000/2000をお勧めします. (SmartVisionのMPEG2は8Mbpsが最高なので, バラエティー番組のタイトルのように下衆な色使いで高速に動くものは かなり圧縮ノイズが出ます.)