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一日ボケ―っっとしているわけにもいかないので、踊りの練習に行く途中だった母を捕まえておしょくじ。ついでに湿布を沢山うちから持ってきてもらったり。
しばらく前から続いている寝違え……と思しき首の痛みが止まらないのですよ。とっても困り者。
お昼ご飯の後は不動産屋に行って駐車場の解約。そこで返してもらった敷金をもって美容院で髪を切ってもらってからは、家でぼーーーーーっとする一日。
春って眠いのですよ……
びえり (ふぁんにすてるろーぃ) おーうぇん (れこば) れこば ばばんき (おーふぇるまうす) (すこーるず) べーろん (べっかむ) ろぃきーん (じぇらーど) ふぁーでぃなんど さねってぃ ひっぴあ いえろ (ふぉっくす)(ぶらん) たこ (かりーに)レコバはFWにしたほうが活躍するんだけどね……
ここは『きみのカケラ』『最終兵器彼女』『いいひと。』『わたしたちは散歩する』の「なんだかよかったらどうぞ」てのがものすごくつぼに入りました。萌え?
高橋しん事務所のスタッフによるページです。なんだかよかったらどうぞ。よろしく。
「はい、チョコレート。感謝しなさいよ?」
「お。ありがと」
アイツはいつものように飄々と受け取る。12回目のバレンタインデー。はじめはただチョコレートをお友達に上げる日だと思っていたけど…… いつからかな、そのものの意味に気が付いたのは。
――本命チョコなんて―― もう渡せない。2月14日にチョコレートをプレゼントするのが、もうあたりまえになりすぎてる。
アイツはあたしのチョコレートを無造作にかばんに詰め込む。もっと丁重にあつかってよね。……あんなのでも、2日もかけて作ったんだから。わたしの気持ちが無造作に詰め込まれるのを目で追うと、かばんの中にちらと、見えるはずの無いものが見えた。
「――え?
なに、あんた。誰かにチョコもらったの?」
「あ? ああ。えーと、誰だっけな…… ほら、陸部の後輩。
なんつーか…… ちっこいやつ」
言葉を続けてなんとかその女の子の名前を思い出そうとしているけれど、その言葉はもうわたしの耳に届いて居なかった。
――不覚――
この11年間こいつにチョコを渡してたのはわたしだけだったのに。今年も同じだと思い込んでた。こんな奴にチョコをあげるような物好きはわたしだけだって――
「なにやってんだ? おいてくぞー?」
立ち止まっていたわたしに、振り向いたアイツが声をかける。
――大丈夫。12年の先行投資は伊達じゃないっ。心の中でぐっとこぶしを握り締めて気合を込めて――
今年こそは――絶対に――っ
「いやさー……
あそこでああ言われたら、ふつーはこー返すじゃねーかょ……
それを何もあそこまで……」
(ちびちびと酒を開けながらぐちぐち)
「あんたねー、男なんだから、彼女と喧嘩したくらいでそんなぐちぐちすることないじゃない」
「でもよー(ぐちぐち)」
(はぁ。なんでひとり身のわたしがこいつの愚痴聞かなきゃいけないわけ――)
「にゃほー」これは制服じゃないきがした(汗) しかもおちてない。
「……? おー。まにゃか。誰かと思ったよ」
「(すかーとを見せびらかすようにして)えへー。今日から中学校なのだっ☆」
「そっか、もう中学かー。今日が入学式?」
「うんっ。まにゃの制服姿、たくろーさんに見てもらいたかったから早めに出てきたの」
「ほー(まじまじと)」
「……(どぉ? と上目遣い)」
「うん。似合ってる似合ってる(わしわしと頭をなでる)」
「えへー☆ じゃ、おかーさんまってるから、いってくるねー(ぱたぱたぱた)」
「あ。ごしゅじんさま〜☆」格好だけじゃだめですか(w
素っ頓狂な声に振り向くと、魚屋の店先で手を振っている女の子が一人…… て、おぃ……
「お、おまっ ……なんて格好してるんだよっ?」
「え、ごしゅじんさまー こういう格好、好きじゃないですか?(にっこり」
「いや、そらー(もごもご
でも、その格好で外を歩くことはないだろっ」
「えへー」
おつりと買ったものを受け取ると、きゅっと僕の腕に抱きついてくる。
――ああ。違うんです、魚屋の奥さん。これは…… ――ああ。そんな蔑んだ目で見なくても―――――
「さ、いきましょー ごしゅじんさまっ」
商店街中の視線が痛い、秋の夕暮れ――
年も変わり――近くの神社へ初詣。
「あは。あけましておめでとうございますっ(ぺこり)」
「あ、ども。あけまして――」
「はい、甘酒です、どーぞ♪
わざわざうちに、初詣に来てくださったんですか?」
「んー やっぱり、いつも来ている神社だしね」
「そうですねー。そういって頂けるとうれしいです。
この辺の人は皆さん、あちらの大きな神社に行ってしまいますから」
「もしかして僕が一人目?」
「いえいえ、さすがにそんなことはないですよー。……5人目、かな……?」
「はぁ……切ないですねぇ…… こんなにかわいい巫女さんが甘酒持って待ってるのに」
「えっ(///) そんなっ、かわいいだなんて……」
「まぁ、そのおかげで僕もゆっくりとしてられるんだろうけどね」
「(はっと)――そうですね☆」
薄暗闇の中、祭壇の前に跪き続ける修道女が一人。
(私の人生は――神への祈りのために――)
(――一人でも多くの人が、神の国へと導かれますように――)
女はいつまでも、いつまでも、跪き続ける。
「わたしは――今まで精一杯旦那様のために尽くしてきたと思っております――」うーん。なんか違う。
「そうだな」
「そのわたくしを―― わたくしに、この家を出て行け、とおっしゃるのですか。旦那様――?」
「誰がそんなことを行った?
わたしは、おまえを奴隷の身分から開放しようといっただけだが」
「わたくしにとっては、自由の身など何の意味ももたないものです。
旦那様――あなた様の元にわたくしを置いてください。どうか、どうか――」
「おまえは―― なにか勘違いをしているようだな。
誰がこの家を出て行けなどと言った?
――おまえを自由市民として、わたしの家に迎えよう。
この家の婦人が――奴隷の身分のままでは格好がつかなかろう?」
「……
……! だんなさまっ」
「女王様とおよびっ☆」だめだw
「……その体形でそれやっても、ぜんぜん似合わんだろう……」
「あうー……(T_T」
「だっ。寄るなってばぁぁぁっ」うーん。ちょっと違う?
「んーなこと言われても…… そっち行かないと課題終わらないだろ……?(一歩踏み出す)」
「だめだめだめだめだめだめだめだめっ ぜーぇぇぇぇったぁぁあぁぁぃぃぃぃっ だめっ」
「(わざとらしく空を見上げて)……なんか凄く切ないのは気のせいだろーか……」
「――あ。ちがうのよ?
あのね。べつにあんたに含む事があるわけじゃなくてっ……」
「(よいしょっと)」
「―――――――――っ」
ぱたり。
「――あー。ホントにダメなやつっているんだなぁ……」
「おねぇさま… おねぇさまはどうしておねぇさまなのでしょう…
おねぇさまが紅顔の美少年だったら、今ごろは陽の下を歩いていられたでしょうに…」
「いや…… あの……(抱きつかれて困った顔)」
「ふー。さっきの映画、面白かったね、美香ちゃん?」
「にゅっふふふ…… だまされたね? おにーちゃん?」
「へっ?(はとが豆鉄砲に撃たれたかのように)」
「わたしは―― 美樹なのですよ?」
「えっ…… まぢ……」
「……そしてわたしが…… 美香なんですよ……?」
背後に突然の気配。振り向けば正面の女の子と同じ背格好の子が、ふくれっつらで立っている。
「にゃは。まさか、わたしたちが入れ替わってるのに最後まで気が付かないとは思わなかったのですよ☆」
「あー……」
「おにーさま? まさか自分の彼女が入れ替わっていたのに、ほんとーーーに気が付かなかったなんて――おっしゃいませんよね?」
「えーっと…… あは……」
「……おしおきです、おにーさま……」
「おねーちゃんっ おねーちゃんたるもの、年下に譲るべきなのですよっ?」
「ばか、あなただからって簡単に譲るわけにはいかないのよっ」
「なーるほど、おねーちゃん…… おにーちゃんを逃すと後が無い……」
「ばっ……(///) そんなことないってばっ」
「だったらその手を離してわたしに譲るのですよっ」
ぐっと引っ張られる左腕。
きゅっと手繰られる右手。
「えーと、僕の意思ってやつは……」
「そうね」
「そうですね」
「「(おにいちゃんに | あなたに)選んでいただきましょうか」」
「……ほぇ?」
ずるずると部屋に引きずられていく。
「おにーちゃんだって、若い方がいいもんねっ」
「そーんなことありませんよねぇ?」
にこやかに笑う顔が怖い似たもの姉妹――
ぱたんっと後ろに倒れこむ。イメージは清音一級刑事で。
ぎーぎーと蝉が鳴く季節。わたしの部屋には冷房なんてなくて、窓からは生暖かい風が吹き込んでくる。きゃみそーるもぺたぺたときもちわるい。
「はぅー…… おわんなぃ……」
夏休みものこり1週間。田舎に帰って従兄弟のおにーちゃんと遊んでいたり、ここぞとばかりにあちらこちらの美術館に行っていたわたしには、宿題なんてやっている時間は無かったわけで……
「はぁぁぁ」
じーじーという音が頭に響く。ちりちりという風鈴の音がむなしく響く。とろけたのうみそで天井をみあげていると、おねーやんがわたしの顔を覗き込んできた。
「……なにやってんの、あんたは?」
「おねーやーーん。たーすーけーてー」
倒れた格好のまま手だけ動かして姉の足首をつかむ。ぺち。
「……宿題?」
「おーわーらーなーいーのー」
あきれた表情。
「あそびほうけてたあんたが悪いんでしょう?」
「そんなこといってもー」
「そうだ、手伝ってくれたらこのプールの券をあげようっ」
わたしは何処からともなくプール無料券二枚組みを取り出し姉の前にひらひらと示す。
「いらないけどね……
とりあえず、そのだらしない格好をやめなさいな」
あきれた表情のまま、姉はわたしの正面にぺたと座る。
「で。どこがおわらないわけ?」
「やたっ」
わたしはしゅびっと起き上がり、早速算数の宿題を姉に手渡す。
みんみんと蝉の声が響く夏の日、わたしと姉は二人で宿題。気が付けば日も傾き、窓から吹き込む風も少し涼しくなっていた。
「ねー、おねーやん……?」
「ん?」
「……好き」
「――ばか。はやく終わらしちゃいなさい」
「はーい」
高校の同級生だった昔の彼女が、兄貴と結婚してしまったりしたわけで――
「おねーちゃん」
「……なによ?」
「いや、呼んでみただけなんだけどね」
「……(ふくれつら)」
「姉なんていなかったからさぁ、なーんか新鮮で……」
「……何にやけてんのよ、気持ち悪いわね……」
「おまえは猫か?」
声をかけた先には、こたつの中で丸くなる姿があった。外は雪が降りしきり、テレビからは今年一番の寒さという情報が流れてくる。
「さむいのよさむいのよさむいのよっ」
こたつの布団の中から聞こえる声はくぐもって、また、見えない表情は、こたつの中がどうなっているのかを空想させる。
「うりゃ」
こたつに突っ込んでいる足でつっつく。
「ふにゃっ」
妙なところにあたったのか、それこそ猫のような声がこたつ布団の奥から聞こえる。
「おお。なんかおもしろい」
えい、えい。足の先でつっつく。
「にゃっ うぁっ。こらっ やめなさいってばっ」
必死に俺の足を避けようとしているのか、こたつが小さく振動する。
「ぷはっ」
俺が腰掛けているこたつの辺から、真っ赤に染まった顔がぴょんと飛び出してくる。
「おー、でてきたでてきた」
「やめなさいよねー。子供みたいな遊び――」
「それを言うならおまえもだろ。二十歳過ぎてこたつの中で丸くなってるのはどーかと思うぞ……」
「――うるさいわね、さむいからいいのよっ」
そういうとあいつは、俺のひざを枕にして見上げるような体勢をとった。
「はぁ。これなら文句無いでしょ?」
「ん――まあな――」
「さむいわねぇ……」
「さむいなぁ……」
そんな、怠惰な午後。